2010 DODGE CHALLENGER HURST(SRT-8 BASE COMPLETE CAR)
2014/12/04
ECU現車セッティング(DIABLOSPORT Trinity使用)・アンダーサイズスーパーチャージャープーリー・φ90ビッグスロットル・ハイフローインジェクター・インタークーラーパイピング製作・ハイフローブローオフバルブ取付
最大出力444.3ps/5743rpm 最大トルク58.6kg・m/4769rpm
最大出力524.2ps/5110rpm 最大トルク75.8kg・m/4814rpm
この車両はHURSTのコンプリートカーで、元々VORTECHのスーパーチャージャーキットが装着されている車両です。
以前、まずはパワーを計測したいとの事でご依頼いただき、パワーチェックをしましたが、444.3psでHURSTがアナウンスしている572psには程遠い数値でした。
ただし、572psの80%が457.6psなので、ほぼいいところではないかと思います。
しかし、この結果にオーナー様はご納得せず、弊社のシャシダイで600psオーバーが出るようにチューニングを!とご依頼いただきました。
まず最初に考えたのは、パワーをアップさせるにはやはりブーストをアップさせるしか方法しかないので、アメリカよりアンダーサイズスーパーチャージャープーリーを何種類か取り寄せました。
いざ取り付けてセッティングを始めましたが、元がNAにボルトオンキットということで、予想はしていましたがブーストを上げたところでノッキングの嵐です。
このノッキングを抑えるため、不本意ですが燃調をかなり濃い目にセッティングします。
ノッキングは収まってきましたが、今度はインジェクターの吐出量が足りなくなってきました。
スーパーチャージャーキットに含まれているハイフローインジェクターはきちんと取付られていましたが、それですら足らなくなるくらいの燃料が必要だったと言う事です。
そこでオーナー様にご了承をいただき、問題無いであろう吐出量のインジェクターを計算にて選定し、再度アメリカより取り寄せました。
今回選定したインジェクターは、元々過給器を取り付ける前提のエンジン(低圧縮比エンジン)であれば、900psまではまず問題無いであろうというくらいの大容量インジェクターです。
そしてインジェクターを交換して、再度セッティング開始です。
このインジェクター交換のセッティングというのがもの凄く大変な作業で、エンジンを始動させるだけでもかなり労力が必要です。
社外フルコンのように設定出来ればいいのですが、純正ECUのデータを書き換えているだけなので仕方がないところですが、頑張ってセッティングするしかありません。
インジェクターの設定・体積効率マップ等色々なマップのデータを変更して、アイドリングから徐々にセッティングを詰めていきます。
そしてもの凄く苦労したセッティングも完了し、パワーチェックの結果は元の状態からなんと79.9ps・17.2kg-mアップです!!!
結果的にオーナー様からご要望があった弊社シャシダイで600psオーバーは叶いませんでしたが、この数値は6.1HEMIエンジンノーマルでの限界値だと思います。この限界というのはエンジン本体の強度ということではなく、セッティングして色々なデータを取った上で、ノーマルの圧縮比設定での一般市販ハイオクガソリンで出せるパワーの限界だと考えます。
ただし弊社シャシダイでカタログ値の約80%の数値しか出ない事を考えると、同じ条件で考えれば650psオーバーと言っても過言ではないと思います。
さすがにこれだけのパワーが出ていると、実走してもかなりの速さを感じます。
弊社でセッティングをさせていただいた6.1HEMIの中ではダントツでトップのパワーですので、当たり前かもしれませんね^^;
グラフの5,500rpm以上の落ち込みは、勝手にシフトアップしてしまいアクセルを離しているからで、けしてパワーがこんなに落ち込んでいるわけではありません。
実走でここまでの落ち込みが無いことは確認しています!
この車両はAT車でパワーチェックはマニュアルモードで測定しますが、オーナー様がマニュアルモードを使わないとのことだったので、マニュアルモードのシフトポイントを無理に引っ張らないように設定してお渡ししているため、今回のようにシフトアップしてしまいます。
インジェクター設定・体積効率・点火時期等の様々なマップを参考になるデータが何もない状態でゼロから作成し、もの凄くセッティングが大変だった車両なので、予想以上の結果でちょっと嬉しかったです。
※9RECORDSのFacebookページもありますので、お時間があるかたはこちらもご覧下さい!→https://www.facebook.com/9records.importcar.tuning