2010 FORD MUSTANG SHELBY GT500 (作業編)
2018/4/23
KENEEBELL3.6Lスーパーチャージャー,AmericanRacingへダース,クランクプーリー,強化テンショナー他取付け他、9RECORDSオリジナルECUセッティング
最大出力/rpm、最大トルク/rpm
最大出力751.5HP/6,310rpm、最大トルク90.7kgキm/4,701rpm
今回はもともとチューニングされていた車両を更にパワーアップしたいとのご要望によりケニーベル製の3.6Lスーパーチャージャーを新たに搭載し、更にアメリカンレーシング製へダース、クランクプーリー、強化テンショナーなどを用いてスーパーチャージャーに見合ったパーツをセレクトセットアップしていきました。
作業内容としては、まずスーパーチャージャーの取付けになりますが、大容量化に伴いエンジンルームから突出しボンネットの干渉を防ぐためエンジンマウント自体を現状よりローマウント化しました。
次に当社では定番のアメリカンレーシングへダースの取付けです。パワーアップでの熱量の増加は物凄いものがありますのでここでしっかりとへダースには耐熱用バンテージをしっかり巻いていきます。他車種に比べシェルビーのへダースは入り組んでいるため敬遠しがちになりますが、当社ではきっちりと作業を行なっていきます。
出力アップのため水温管理や燃料管理も重要になります。今回の作業では水温コントロールや流量の変更に適した当社推奨のサーモスタットへ、また燃料管理の面では過給上昇のため燃料噴射量の増加が必要になります。ですので現状からフューエルインジェクター、ポンプを変更し更にポンプへの出力電源を昇圧させるブースターポンプも取付けました。
次の作業はクランクプーリーの変更です。
クランクプーリーの変更と聞き慣れない感じがしますが、実は定期交換部品の一つです。理由としては、クランク振動やスーパーチャージャーなど補機類の負担吸収しているのがクランクプーリー、しかもそのダンパーはゴム製ですのでもちろん劣化します。ですので定期的な交換が必要になります。今回は出力アップに適した強化クランクプーリーを用います。また、プーリーサイズを下げる事でスーパーチャージャープーリーとの比率によりブーストも上がりますので今回はダウンサイズクランクプーリーを採用しました。
次の作業はスーパーチャージャーの大容量化に伴いスロットルの変更も行います。ここでのポイントとして単純にスロットル自体も大きなものに変更すればパワーアップに繋がるのではと思いますが、確かにパワーだけの観点でしたらそうかもしれません。しかし、極端なスロットル開度によりパワーの出方がラフで急激な加速になりますので、街乗りや普段使いの車両ですととても乗りずらいフィーリングになってしまいます。ですので、適正なサイズのスロットルを選択し適正な吸入空気量を送る事が重要になり、ハーフアクセルなどでもストレスを感じないコントロール性の良い乗り味にする事が出来ます。
最後にエアフロメーターの交換を行います。これはスーパーチャージャーの仕様変更時にはポイントの一つになる重要なところになります。変更の理由としてはノーマルのままですとエアフロメーターの測定値の範囲が足りなくなり数値に誤差が生じそれに反応しECUが誤差の数値の状態で計算をし信号を送る為、燃料噴射量や時期が狂い不具合が起こってしまうためです。ですのでエアフロメーターの測定幅を広げられるものと交換が必要になります。
ただここで問題も生じます。それはエアフロメーター計算値の変更によりエンジンECUが計算している値を全てゼロから変更する必要があるのです。この作業は測定から暫定値を決め正確な数値に合わせて行くため、とても手間と時間を要します。それら関連している項目全ての計算値を変更し始めてセッティングのスタート地点にたどり着けるのです。
次回はセッティング編になりますので、どうぞお楽しみに!!